皆既月食との出会い¶
深夜2時40分、空に浮かぶ神秘的な赤い月を目撃した。皆既月食の最中、月は通常の白い輝きを失い、血のような赤い色合いに染まっていた。
撮影機材とセッティング¶
使用機材: - 400mmレンズ + 1.4倍テレコンバーター - 実効焦点距離: 560mm - 開放F値: F8(テレコン装着により制限) - ISO感度: 3200-6400 - シャッタースピード: 1秒未満の短時間露光
皆既状態の月は意外なほど暗く、撮影は予想以上に困難だった。F8という制限された開放値では十分な露出を得るために高ISO設定が必須となり、露光時間とのバランスが重要な要素となった。
02:40撮影 - 皆既月食中の赤い月。暗い状態での撮影の難しさを実感
撮影の課題と工夫¶
主な技術的課題: 1. 暗さとの戦い: 皆既状態の月の輝度の低さ 2. F8の制約: テレコンバーター使用による開放値の制限 3. 高ISO撮影: ノイズとの戦いながら3200-6400まで上げる必要性 4. 短時間露光: 手ブレや月の移動を避ける0.数秒の露光時間
7分後の02:47に撮影した2枚目では、撮影設定の調整により月面の詳細がより鮮明に捉えられた。
02:47撮影 - 改良された設定で撮影したブラッドムーン。周囲の星も写り込み、月面のクレーターも確認できる
皆既月食の物理現象¶
赤い色合いは地球の大気によるレイリー散乱の結果だ。太陽光が地球の大気を通過する際、青い光は散乱され、赤い光だけが屈折して月面に到達することで、この「ブラッドムーン」現象が生まれる。
撮影の学び¶
技術的な発見: - F8でも十分に美しい月食撮影が可能 - ISO6400程度でも月面の詳細を捉えられる - 短時間露光(1秒未満)でも十分な光量を確保可能 - 撮影設定の微調整により7分間で大きな改善が可能
まとめ¶
400mm + 1.4倍テレコンという制限された機材でも、設定の工夫により皆既月食の美しさを記録することができた。F8という開放値の制約は確かに「苦しい」条件だったが、高ISO性能と短時間露光技術により、この神秘的な天体現象を捉えることができた。
次回の皆既月食では、今回の経験を活かしてさらに詳細な撮影に挑戦したい。
撮影データサマリー: - 撮影日時: 2025年9月8日 02:40-02:47 - 撮影枚数: 2枚 - 機材: 400mm + 1.4倍テレコン (F8) - ISO: 3200-6400 - 露光: 1秒未満 - 天候: 晴天(良好な視界)