伊吹山ドライブウェイでレモン彗星観測

伊吹山山頂からの夕景

2025年10月23日、レモン彗星(C/2025 A6)を見るために伊吹山へ行ってきました。
伊吹山ドライブウェイでは、レモン彗星の出現に合わせて営業時間を拡大していたため、夕方から夜にかけての観測が可能でした。

山頂に到着したのは17時過ぎで、まずは西の空に沈む夕日を眺めました。
標高1377mの山頂からは、琵琶湖と濃尾平野を一望でき、オレンジ色に染まった空と山々のシルエットが美しかったです。
山頂付近には、僕以外にも何名か彗星狙いのカメラマンの方々がいらっしゃいました。

彗星観測開始の時間帯

薄明の空

18時頃になると、西の空には夕焼けの残光がグラデーションを作り、上空は徐々に暗くなり始めました。
レモン彗星は18時頃から見えるはずでしたが、肉眼では全く見えませんでした。
双眼鏡を使っても「もしかしたらこれかもしれない」という程度で、はっきりとは確認できませんでした。

以前に見たツチンシャンアトラス彗星は比較的明るく、肉眼でも尾が確認できたのですが、レモン彗星はそれよりもだいぶ暗い彗星です。
観測には長時間露光ができるカメラが必要だと感じました。

レモン彗星の撮影成功

レモン彗星

カメラで撮影してみたところ、画面中央やや左寄りに緑がかった光を放つ彗星を捉えることができました。
薄く尾も確認でき、周囲の星々と一緒に写っています。
ツチンシャンアトラス彗星よりは暗いものの、彗星特有の構造がわかるくらいには撮影できたので、良い体験でした。

まとめ

伊吹山ドライブウェイでのレモン彗星観測は、肉眼では見えなかったものの、カメラで捉えることができて満足しています。
彗星観測に合わせて営業時間を拡大してくれた施設の配慮にも感謝です。
レモン彗星はツチンシャンアトラス彗星ほど明るくはありませんが、それでも実際に撮影できると感動しますね。

暗い彗星を観測する際は、双眼鏡やカメラなどの機材があると、より楽しめると思います。


付録:レモン彗星(C/2025 A6)について

発見と命名

レモン彗星は、2025年1月3日にアメリカ・アリゾナ州のレモン山天文台(Mount Lemmon Observatory)で発見されました。発見場所にちなんで「レモン彗星」と命名されています。

発見当初は最も明るくなっても10等級程度と予想されていましたが、その後の観測で4等級まで明るくなる可能性があることが判明しました。
これは当初の予想の約250倍の明るさです。

2025年10月の観測条件

地球への最接近
- 最接近日: 2025年10月21日
- 距離: 約0.60天文単位(約9000万km、地球から太陽までの距離の約60%)

明るさ
- 10月中旬から下旬にかけて4等級前後
- 10月26日前後が最も観測に適した時期
- 肉眼での観察は条件の良い暗い場所でようやく可能な明るさ

観測時間帯
- 10月中旬以降は夕方から宵の空で観測可能
- 10月23日から11月2日までは日の入り1時間後の地平高度が20度以上を保つ
- 低空ではあるものの観察好期を迎える

観測位置
- 西の空、へび座からへびかい座の領域
- 10月下旬は「アークトゥルス」の左上約15度の位置

観測の難易度

4等級前後の明るさでは、低空にある彗星を肉眼で見るのは難しいです。
よく晴れた空の澄んだ日に、光害の少ない暗い場所で観察した場合に、かすかにぼんやりとした姿が見える程度です。
双眼鏡やカメラを使用すると、より確実に観測できます。

特記事項

2025年10月2日には、太陽風の影響で彗星の尾が切断される「ディスコネクション・イベント」が観測されました。これは彗星観測でときどき見られる現象です。

参考リンク