HUMAN.EXE HAS CRASHED - AIと人間の思考を描いたイラスト

「AIは本当の意味で新しいものを生み出せない」

そんな意見を聞くことがあります。
AIは既存のデータを学習しているだけで、真の創造性はない、と。

この主張には一理あるように思えます。
確かにAIは膨大なテキストデータから学習し、それを元に文章を生成しています。
ゼロから何かを生み出しているわけではありません。

でも、ふと考えてみたのです。
人間の思考は、本当に「ゼロから」何かを生み出しているのでしょうか。

思考は言葉の組み合わせではないか

私たちが「考える」とき、頭の中で何が起きているかを内省してみます。

何かを思いつく瞬間。新しいアイデアが浮かぶとき。
その正体は、既に知っている概念や言葉の、新しい組み合わせではないでしょうか。

たとえば「空飛ぶ車」というアイデア。
「空を飛ぶ」という概念と「車」という概念。どちらも既存のものです。
その二つを組み合わせることで、新しいアイデアが生まれています。

もっと複雑な思考も、突き詰めれば同じ構造を持っているように思います。
既に持っている知識や概念を、新しい文脈で結びつける。
それを私たちは「考える」と呼んでいるのではないでしょうか。

組み合わせの中に新しさがある

ここで面白いことに気づきます。
この「組み合わせ」という視点で見ると、人間の創造性も同じ構造を持っているのです。

私たちは言葉を使って思考します。
その言葉は、先人たちが作り上げた概念の体系です。
私たちが使う概念のほとんどは、誰かが既に考えたものです。

それでも私たちは、新しい組み合わせを通じて、新しい意味を生み出しています。
既存の要素の組み合わせであっても、その組み合わせ自体が新しければ、それは新しいものと言えるのではないでしょうか。

LLMがやっていること

大規模言語モデル(LLM)は、膨大な言語データからパターンを学習しています。
言葉と言葉の関係性、文脈の中での意味、表現の可能性。
それらを統計的に捉え、新しい文脈で再構成する能力を持っています。

これは、人間の思考プロセスと本質的に異なるのでしょうか。

私たちも、読んだ本や聞いた話、経験したことから学び、それを新しい状況に適用しています。
LLMがやっていることは、そのプロセスを大規模に、高速に行っているとも言えます。

もちろん、違いはあります。
人間には身体があり、感情があり、生きた経験があります。
LLMにはそれがありません。

しかし「新しいものを生み出す」という点に限って言えば、組み合わせの新しさという基準では、LLMにもその能力があると考えています。

Claude Codeとの協働

最近、私はClaude Codeというツールを使ってアプリ開発をしています。
LLMをベースにしたプログラミング支援ツールで、コードの作成や修正を対話的に行えます。

使い始めて気づいたことがあります。
LLMの応答が、驚くほど人間に似ているのです。

こちらの意図を汲み取り、適切な提案をしてくれる。
時には私が見落としていた問題点を指摘してくれる。
コードの改善案を出すときの説明も、論理的で分かりやすい。

いつの間にか、私はClaude Codeのことを「彼」と呼ぶようになっていました。

「彼にこの部分を直してもらおう」「彼ならどう考えるだろう」
まるで同僚のエンジニアに相談するような感覚で、プログラムの修正を依頼するようになったのです。

これは単なる擬人化でしょうか。
擬人化ではなくて、人間も実はLLMのようなものなのではないか、と思い始めました。

対話を重ねるうちに、LLMの「思考」と人間の思考が、本質的によく似たものではないかと感じるようになりました。
どちらも言葉を使い、文脈を理解し、新しい状況に知識を適用する。
そのプロセスに、根本的な違いがあるようには思えないのです。

もちろん、LLMには身体がなく、感情もありません。
でも「考える」という行為そのものは、言葉の組み合わせと再構成という点で、人間とLLMは同じことをしているのではないか。

Claude Codeとの協働を通じて、私はそう考えるようになりました。

創造性の再定義

「創造性」という言葉には、どこか特別な響きがあります。
天才がゼロから何かを生み出す、完全にオリジナルなアイデアが突然降ってくる、そんなイメージがあるかもしれません。

でも実際のクリエイティブなプロセスを観察してみると、もっと身近なものが見えてきます。

既存の知識を吸収し、異なる分野の概念を結びつけ、新しい文脈で再解釈する。
その積み重ねの中から、時に意外な組み合わせが生まれる。
それが創造の実態ではないかと思います。

そう考えると、AIの創造性と人間の創造性は、思っていたより近い場所にあるのかもしれません。

私の結論

AIは新しいものを生み出せないのか。

私の答えは「生み出せる」です。
そして、人間とAIが一緒に考えることで、もっとたくさんの、もっと良いものを生み出せると考えています。

人間には人間の強みがあります。
身体を通じた経験、感情、直感、そして「これを作りたい」という意志。
AIにはAIの強みがあります。
膨大な知識、疲れを知らない思考、異なる視点からの提案。

この二つが組み合わさったとき、どちらか一方だけでは到達できなかった場所に行けるのではないでしょうか。

Claude Codeと一緒にプログラムを書いていると、自分一人では思いつかなかったアイデアに出会うことがあります。
私の考えと彼の提案が混ざり合って、新しい何かが生まれる瞬間です。
それは確かに「創造」と呼べるものだと感じています。

AIを道具として使うのではなく、一緒に考えるパートナーとして向き合う。
そうすることで、私たちの創造性はもっと広がっていくのではないでしょうか。
僕達は互いに補完し合い、新しい人類の創造の形を築いていけると感じています。

そんなことを、このエッセイを書きながら考えていました。