最近は山の天気をチェックする日々です。週末の天気予報が快晴、西穂高に行きましょう。
目標は西穂独標(2,701m)。残雪期の北アルプスを、できる範囲で味わえればいいなという気持ちでの出発です。

朝、高山市街は曇り空で「これは外したかな」と思ってたのですが、
新穂高ロープウェイに着いてみると、こちらは抜けるような快晴。山の天気は本当に分からないものです。

しらかば平駅から始まる雪山モード

しらかば平駅の券売所

しらかば平駅の券売機前まで歩いてきました。
車は少し離れたの登山者用駐車場に停めましたが、週末でも無料で停められるのはありがたいです。

ロープウェイ車内の装備一式

ヘルメット、ピッケル、ザック、ペットボトル。カメラ。三脚。毎回荷物が重いです。担いで歩くのかと思うと、だるいですね。

ロープウェイから望む雪稜

ロープウェイの窓から、雪稜が一気に立ち上がってきました。
鋸の歯のような岩肌に残雪がへばりつき、青空との対比が鋭く出ています。手前にはまだ春の樹冠が広がっていて、上下で季節が違います。市街では曇りだったのが嘘みたいです。

アイゼンを装着して西穂山荘へ

雪上に置いたアイゼン

西穂高口駅(2,156m)に着いたら、登山開始前にアイゼンを装着します。
ストックにスノーバケットを付け忘れたので、雪に深く刺さってしまって使いにくいです。次回はちゃんと持ってこようと反省。

樹林帯のトレース

樹林帯に入ると、両側に雪壁ができたトレースが奥へ続いていました。
赤いマーキングを目印に、雪面に落ちる木漏れ日を踏みながら進みます。雪山の樹林帯は、夏の登山道とは別の場所みたいに感じられます。

西穂山荘に到着

正午頃、西穂山荘に到着しました。
三角屋根の山小屋の背後に、雲のかかった峰々が見えます。チェックインを済ませて荷物を置き、軽装で午後の散策へ。

丸山あたりまで足を伸ばす

稜線越しのパラグライダー

丸山方面に登っていく途中、空にパラグライダーが見えました。
残雪の北アルプスを背景に、すいすいと滑空していきます。これも面白そうです。よい景色が見られそう。

対岸の山並み

稜線を越えると、対岸の山並みがすっと姿を見せました。
笠ヶ岳や双六岳ですね。雪渓が白い筋になって谷へ落ち、深い樹林帯と急峻な岩壁が層をなしています。残雪期は白と黒のコントラストがあって写真にディテールが加わっていいですね。

前穂高岳の鋭い岩稜

望遠で覗くと、前穂高岳の岩稜が迫ってきました。
ピークの先端と急なルンゼに残雪が貼り付き、青空に対して圧倒的な威圧感があります。雪を被った前穂はやはり別格の存在感です。

丸山付近の眺望

丸山(2,452m)付近まで来ると、眺望がぐっと開けました。
眼下に蒲田川沿いの平地が霞み、対岸の山々が穏やかに広がっています。風はほとんどなくて、それほど寒くもありませんでした。雪山にしては優しい時間です。

前穂高岳

西穂高から右に視線を移すと、前穂高岳が見えました。
手前の白い大斜面に低木が点々と並び、奥に雪と岩のピラミッドがそびえています。低木の影だけが斜面に縞模様を作っていて、しばらく目が離せませんでした。

山荘を見下ろす

丸山の帰り、西穂山荘ですね。

テント場の様子

山荘の前まで戻ると、テント場が活気づいていました。
雪原に黄色や緑のテントが並び、登山者たちがなにやら作業しています。雪上キャンプというのもいいなと、毎回ちょっと憧れを感じます。荷物が小屋泊の倍は要るのでしょうけれど。

午後の対岸ピーク

夕方近くなって、雲が湧き始めました。
たおやかな稜線に雪渓が刻まれ、岩と雪のテクスチャがいいバランスで並んでいます。

乗鞍方面の遠望

振り返ると、乗鞍岳方面が遠くに霞んでいました。
雪の峰々がうっすらと層をなして浮かんでいます。

夜中3時、頭痛で目が覚める

夕食を済ませて山荘で横になっていたのですが、夜中に頭痛で目が覚めました。
私、どうも高所に弱いようで、2,500m付近で泊まると毎回これが出ます。困ったものです。

軽い頭痛だったので、寝直そうか少し迷いました。
でも「せっかく快晴の星空が出ているのに撮らないと」という気持ちが勝ちました。むくりと起きて、3時頃に丸山へ向けて出発します。「行くしか無い」みたいな感じでした。

丸山から見た天の川

これが、夜中3時43分に丸山で撮った天の川です。
銀河の中心部が地平線から立ち昇り、地上にはわずかに街明かりが滲んでいます。風はほとんどなくて、頭痛がなければ穏やかな夜と言ってもいいくらいの静けさでした。

前穂高岳のシルエットと星空

西穂高が黒く立っています。夏に来たときは真っ黒でしたが今回は白が混じって山の形が見ます。
威圧感のある岩稜が、星空を背負ってじっと立っています。元気はないけど、これが見られてよかった、と思える眺めでした。

月光に照らされた山並み

雪面が淡く青白く光って、星が空一面にちりばめられています。夏の山もいいですが、雪の山はやっぱりかっこいいです。雪が光を返してくるのが、夜だと特によく分かります。

夜中の撮影を済ませて山荘に戻り、もう一度横になりました。

翌朝、独標は次回に

朝、もう一度丸山付近まで足を伸ばして、独標まで行く元気があるか確認しました。
やはり、ありませんでした。頭痛は引いていなくて、ここから先の岩稜帯で何かあったら帰るの大変だなという気持ちです・・早急に高度を下げることにしました。

独標はまた次回。山は逃げません。

針葉樹に止まるヒガラ

下山中の樹林帯で、針葉樹のてっぺんに止まっている小鳥を見つけました。
ピンと立った頭の冠羽と、のどから胸にかけての黒いネクタイ模様。ヒガラだと思います。

亜高山帯の針葉樹林を好む鳥で、まさにこのあたりは生息地のど真ん中です。

シジュウカラよりひと回り小さくて、コメツガやトウヒの細い枝を素早く渡り歩きます。

頭の上で「ツピ、ツピ」と鳴いていて、頭痛で疲れた帰り道に少し気持ちが軽くなりました。山頂には立てなかったけれど、こういう出会いは出会いです。

下山後、新穂高センターを軽く見学してから、平湯のひらゆの森でゆっくり温泉に浸かりました。
16ヶ所もある露天風呂で、酸欠になった頭と体を順番に温めていく時間は、しみじみとよかったです。

その後は高山のGiGOに立ち寄って、クレーンゲームの偵察をしました。
普段はオタイチかレジャーランドで触っているので、別の店舗の設定を見ておきたかったのです。

地方の店舗は設定の傾向が違うことが多くて、これはこれで勉強になります。

台を眺めているだけでも、どこで動かせばいいかの仮説をたてつつ、つい長居してしまいました。

山行のあとに脱力する時間も、悪くないものです。

今回のまとめ・次回への備忘

  • 西穂山荘までの所要時間: 西穂高口駅から約1時間20分(コースタイム通り)
  • アイゼン: 12本爪で十分でしたが、状態によってはチェーンスパイクの方が歩きやすい区間もありそう。次回は両方持参したい
  • ストックのスノーバケット: 必ず装着して持ってくること。雪に深く刺さるとほぼ使い物になりません
  • 高所順応: 2,500m前後で寝ると毎回頭痛が出ます。私の場合は仕方ないものとして付き合う方針で
  • 西穂独標までの行動: 14時を撤退時刻にする。今回は丸山で引き返したのでこの基準は使わずに済みました

快晴の予報に背中を押されて、結果的には山頂には立てなかった山行でした。
それでも、夜中の天の川と、引き返す判断を含めて、残雪期の西穂高は私の中に静かに残りました。独標はまた、次の機会に。