世の中はシルバーウィークらしいのですが、私にはあまり関係がありません。
木曜の夜に思い立って、金曜に立山へ行くことにしました。

立山には雪の季節に一度来ています
あのときはケーブルカーが運休していて、臨時バスで室堂まで上がりました。展望台までは歩きましたが、山らしい山には登っていません。

雪がないとどう見えるのか。それを確かめに行きます。今回は一応、登ります。
目指すのは浄土山、2,831m。室堂が2,450mなので、標高差は400mありません。地図を見る限り、それほど難しいルートではないはずです。

ただし予報は、昼過ぎから雨でした。

深夜の立山駅

深夜の立山駅

アルペンルートのきっぷはWEBで予約できるのですが、思いつきが遅すぎて販売期間に間に合いませんでした。当日券です。
始発に乗るには、並ぶしかありません。

駅舎はもう閉まっていて、投光器だけが看板を照らしています。アルペンルート55周年のロゴが暗がりに浮かんでいます。

夜の駐車場

駐車場は無料で先着順、こちらは予約できません。溢れたら臨時駐車場とシャトルバスになって、始発には届かなくなります。
早く着く以外に手がないので、23時半には入りました。

一応、もう誰か並んでいるのか見ておきます。列はまだありません。
ただ、駐車場のほうはこの時間でほぼ満車です。

朝5時20分、7番目

夜明け前のきっぷ売り場

5時20分に列に加わりました。7番目です。
シャッターの下りた窓口の前で、先客が荷物を枕にして座り込んでいます。空はまだ青いままです。

私は小さな折りたたみ椅子を持ってきていたので、それに座って待ちました。

明るくなった立山駅前

当日券は、買うときに乗る便の時刻を指定します。
窓口で告げられたのは、始発便の最後の1枚でした。ラスイチです。7番目で最後というのはよくわかりませんが、とにかく乗れます。

ケーブルカーに乗り込む

花柄をまとったケーブルカーに、階段を上って乗り込みます。ここから美女平、乗り換えてバスで室堂まで。

室堂から浄土山へ

室堂の石畳

8時半ごろ、室堂に立ちました。
石畳の遊歩道の先に太陽があります。右手が浄土山、左には雄山と大汝山が寝そべっています。
空はまだほとんど雲がありません。

前回はここが一面の雪でした。同じ場所とは思えません。草は色を落としかけていて、岩の灰色と枯れた黄色ばかりが目に入ります。

カリマーのザックを背負った登山者

前を行く人が背負っているのはカリマーです。
私もカリマーのクレーブ30を使っていて、これが大変気に入っています。おかげで、カリマーを使っている人を見かけるとつい撮ってしまいます。我ながら面倒な癖だと思います。

石がごろごろした登り

雪のときは雪の上をまっすぐ歩いたので、この道は通っていません。
拳ほどの石が敷き詰められた登りが続きます。登山靴でないと、足の裏が痛いかもしれません。

うろこ雲が出ています。予報どおり、天気は長くはもたなそうです。

岩場を登る登山者

見上げると、先行の人たちが岩の段を越えていきます。

浄土山登山口の道標

浄土山の登山口に着きました。道標には浄土山と龍王岳。
ただ、ここはいったん通り過ぎます。先に奥の室堂山展望台へ行くことにしました。

午前中に晴れていても、上昇気流が起きて雲はすぐに出ます。見えるうちに見ておくほうがよさそうです。

室堂山展望台からの北アルプス

薬師岳方面の山並み

展望台の向こうに、山が幾重にも重なっています。
手前の尾根には、風に撫でつけられたような筋が何本も走っています。
雪のある季節に見ていたのは、この上に雪が乗って風で削られた形でした。
雪がないと、削られているのは地面のほうだとわかります。

立山の地形は、火山と氷河と凍結でできています。雄山の西側には山崎カール。1905年に日本で最初に見つかった氷河地形で、国の天然記念物になっています。
稜線の丸くえぐれた斜面や、岩が縞になって並んだ地面は、凍ることと融けることを何万年も繰り返してできた周氷河地形です。
強い風で木が地を這い、草が短く刈られたようになるのは風衝地形です。
標高2,500mを超えると、これらが普通に足元にあります。

槍ヶ岳

奥に、みんな大好き槍ヶ岳です。
ひとつだけ尖っているので、どこから見てもすぐわかります。

雲が湧き始めた稜線

その右手には笠ヶ岳。こちらも整った形をしています。
谷から雲が上がってきて、稜線に引っかかり始めました。1時間遅かったら、この山並みは見えていません。

ヨーロッパのアルプスには行ったことがないのですが、それでもアルプスという言葉が浮かびます。

浄土山の上

雲海と稜線

1時間だったか、2時間だったか。時計をあまり見ていませんでした。
気がつくと浄土山の上で、雲を見下ろす側に立っています。下の谷は白く埋まっていて、稜線だけが島のように残っています。

雲をかぶった雄山

向かいに雄山です。左肩から雲がかぶさってきていますが、山頂はまだ抜けています。

雄山山頂の山小屋

寄ってみると、頂上に建物が載っています。山小屋です。その脇に人が数珠つなぎになっていて、こちらから見ると豆粒くらいの大きさです。
雄山もかなりかっこいい形をしています。次はこれに登りましょう。

剱岳

そして奥に剱岳。
手前の緑の稜線とは明らかに手触りが違って、そこだけ岩が牙のように立っています。かっこいい。これが見たかったのです。

一ノ越へ下る谷

足元から一ノ越へ向かって、ガレた谷が落ちています。その底を白い道がうねって、向かいの斜面へ上がっていきます。

浄土山の稜線

風はありませんでした。日が当たって、じっとしていても寒くありません。9月半ばの2,800mでこれは楽なほうだと思います。
ハイマツと岩の稜線が、そのまま次のピークへ続いています。この先、どこまでも縦走できるようです。

今回は縦走しません。この辺をうろうろして、景色を見ていました。

雲の間の稜線

雲が湧いては流れ、山肌が出たり隠れたりします。

ドローンから見た室堂平

ドローンを上げました。
みくりが池が濃い青で沈んでいて、その左に室堂山荘の赤い屋根。
地獄谷から湯気が横に流れています。
歩いてきた道が、白い筋になって斜面を横切っているのがわかります。

雲の湧く稜線

雲の量が、さっきよりはっきり増えています。

剱岳のアップ

剱岳をもう一度。周りが白くなってきた分、岩の塊だけが濃く残っています。
そろそろ下ります。

真っ白の室堂

雲がかかる奥大日岳

下り始めると、さっきまで抜けていた奥大日岳が雲に入りました。1時間の差です。

ベンチに広げた機材と行動食

室堂まで下りて、タイムラプスを撮るつもりでした。
ベンチに機材を並べたところで手が止まります。背景が真っ白です。北アルプスどころか、向かいの斜面も見えません。

仕方がないので、持ってきたものを食べました。ハムタマゴパンと、潰れたおにぎりです。
撮れないときの昼食は、やることがないぶん早く終わります。

雲の下りてきた室堂平

歩き出すと、ガスが少し切れました。みくりが池と室堂山荘が見えています。
稜線はもう雲の中です。午前が勝負という読みは、当たっていました。

帰りもケーブルカー

美女平駅のケーブルカー

美女平でケーブルカーに乗り換えます。
前回来たときは工事か何かで運休していたので、これに乗るのは初めてです。運転士さんが定位置に座っています。

立山駅のホーム

立山駅に着きました。車体が斜めのまま停まっていて、ホームの階段もそれに合わせて段々になっています。

立山駅のモンベル

立山駅にはモンベルがあります。
下山してきた流れで、つい寄ってしまいます。何も要らないはずなのですが。

ソフトクリーム

そしてソフトクリームです。
駅前の道路の向こうに、登ってきたほうの山が緑のまま立っています。上は雲の中のはずです。

このあとは温泉に寄って帰ります。富山市の満天の湯に行きました。
露天が開けているうえに、内湯の窓が大きな吐き出し窓で、それが全開になっています。風が通る風呂は気持ちがいいです。次もここにしようと思います。

まとめ

  • 浄土山は北峰2,831m。室堂(2,450m)からの標高差は400m弱で、往復3時間ほど。石はごろごろしていますが、難しい場所はありません
  • 当日券は並ぶ前提。WEBきっぷの販売期間を過ぎたら、駐車場の確保も含めて前夜に現地入りするのが確実です
  • 展望は午前が勝負。晴れていても上昇気流で雲が湧くので、着いたらまず高いところへ行ったほうがいいです
  • 室堂山展望台は石畳で往復1時間強。ここだけでも北アルプスは十分見えます

雪のない立山は、雪のある立山とは別の山でした。
雪が隠していた地面が出ているので、氷河や風に削られた跡を、そのまま間近で見られます。

次は雄山です。頂上のあの山小屋まで行きます。