朝のウランバートル¶
昨日は、給油の列を横目に見ながらこの街を歩きました。
今日はその街を出て、ゴビ砂漠まで南へ走ります。燃料の足りない国で、丸一日がかりの移動です。
朝の6時半。РЕСТОРАН の看板に日が当たっています。歩道はまだ空いていて、道路脇には車がぎっしり停まっています。
街を出る途中で、発電所の前を通ります。冷却塔から白い蒸気が何本も立ち上がっています。市街地のすぐ隣です。
そして、車の列です。
昨日の夕方も並んでいた場所に、もう並んでいます。
プージェさんによると、この人たちは夜から並んでいるそうです。ずっとです。白いプリウスが延々と続きます。
草原を南へ¶
街を離れると、すぐに草原です。もやの向こうに丘が重なり、馬が草を食んでいます。
前を行くバンが砂埃を上げています。その左を、馬が数頭歩いていきます。
舗装は、たまに切れます。
盛り土になった段差を人が歩いて越えていきます。しばらくは草原を直接走ることになります。それが結構な距離です。
そして、何事もなかったようにアスファルトに戻ります。
道の両側は、どこまで行っても草原です。ときどき馬の群れが湧いて出て、また後ろへ流れていきます。
給油機の前から道路に沿って、田舎町のスタンドにも車が並んでいます。首都だけの話ではありませんでした。
僕らは並びませんでした。観光ガイドには専用のカードがあって、並ばずにある程度は給油できる仕組みがあるそうです。
マンダルゴビで休憩¶
中央ゴビ県の県都、マンダルゴビで休憩しました。ホテルに入っているカフェです。
本棚と裸電球、壁は白樺の柄。ウランバートルにあってもおかしくない店構えでした。
アイスクリームとお茶があります。ラテの泡にクマが描いてあります。
ドローンを上げてみました。
板塀で四角く区切られた敷地が、砂の上に整然と並んでいます。奥に集合住宅、その先はもう地平線です。
車の具合がよくありません。パンク気味だということで、タイヤに空気を入れ直してもらいました。
出てきたのは、上半身裸のおじさんです。黒い短パンにサンダル、しゃがんで後輪にホースを当てています。ホースは地面を這って、小屋のほうへ伸びています。
日差しは強いのですが、風は乾いていて、脱ぐほど暑いようには見えません。なぜ裸なのかは、わかりませんでした。
上から見ると、こういう場所です。ゲルと平屋とトタン屋根が混ざった一角に、修理屋があります。
白い小屋の壁に ДУГУЙ ЗАСВАР の文字。タイヤ修理、という意味です。軒下には使い古したタイヤが横倒しで積み上がっています。
この先の道路事情を考えると、需要のある商売なのだと思います。
草がなくなる¶
草がなくなりました。
遠くに白い崖が横たわっています。ツァガーン・スワルガ、ホワイトストゥーパです。
車に乗ったまま、ドローンを飛ばして自分たちを追わせました。
砂の上に轍が一本。ほかには何もありません。これはかっこいいです。
崖が近づいてきました。
ツァガーン・スワルガ¶
車を降りて、崖の縁へ向かいます。地面は平らなままで、この先が落ちているようには見えません。同じ方向へ、観光客が点々と歩いていきます。
縁に立つと、下は極彩色です。
白、黄、赤、紫。層が横に走り、細い尾根が何本も突き出しています。突端に人が座っています。
上から見ると、平らな砂漠に亀裂が入ったような地形です。
ツァガーン・スワルガは「白い仏塔」という意味です。遠くから見た崖の形が仏塔に似ているので、そう呼ばれるようになったそうです。
高いところで60mほど、崖の長さは400mくらい。石灰岩と砂岩でできています。
このあたりは大昔は海の底で、貝の化石も出るそうです。下に見えている色の帯は、海に積もったものが層になって、それが削られて出てきたものということになります。
アメリカのグランドサークルで見たような景色です。規模はずっと小さいのですが。
それが、何の前触れもなく砂漠に現れます。
かわいい顔のバン¶
崖のそばに停まっていたのがこれです。ロシア製のUAZ、通称ブハンカ。屋根に赤いポリタンクを積んでいます。
正面から見ると、この顔です。丸い目が二つ。
バンなのかSUVなのか、よくわからない車です。この旅では何度も出くわすことになるのですが、見るたびに写真を撮ってしまいます。韓国からの観光客にも人気があるようです。
ラクダ¶
ラクダがいました。車を止めてもらいます。
歩いて近寄ってみました。
ある程度まで行くと、向こうも立ち上がって離れていきます。それ以上は詰められません。
ぼーっとした顔で口を開けています。変な生き物です。
舗装はここまで¶
ここから先、舗装はありません。
地面には轍が何本も走っていて、どれを選んでもいいようです。プージェさんは、この荒野を時速100キロで走ります。
ゴビ・オアシス¶
夕方、ダランザドガドの車屋に寄りました。朝からの不調が気になるので、もう一度見てもらうつもりでした。
プージェさんがしばらく交渉していましたが、結局そのまま出てきます。見てもらえなかったようです。
このときは、これで済むと思っていました。
今晩の宿はゴビ・オアシスです。日が沈む直前に着きました。
僕らが泊まったのはデラックスゲルというやつで、見た目も少し立派なゲル風の建築でした。
中は木張りです。ベッドが3台に、エアコンと冷蔵庫とテレビまで揃っています。
外に出ると、ちょうど日が落ちたところでした。ゲルが横一列に並んでいて、その向こうには何もありません。
食堂は木造のドームです。天井からシャンデリアが下がり、真ん中にビュッフェの台が置いてあります。
モンゴルの人は、朝も昼もパンと肉だそうです。夜も肉でした。
ここのは味付けが濃いというか、スパイシーで、これがおいしかったです。
天の川と、緑の帯¶
モンゴルは空が暗いことで知られています。それを確かめに、深夜に外へ出ました。
外に出ると、冷えます。
Claude Codeで現地の気候を調べてダウンを持ってきていたのですが、それでも微妙に寒く感じました。8月の話です。
ゲルの真上に、天の川が立っています。
そして、低いところに緑色の帯が見えます。
これは大気光です。オーロラではありません。
高いところの大気にある酸素が、昼のあいだに太陽の紫外線でエネルギーを受け取り、夜になってそれを少しずつ光として手放していきます。その光が緑色に見えるものです。
オーロラのほうは太陽から飛んできた粒子が大気を直接光らせるので、そこが違います。
とはいえ、こうして書いてはみたものの、なぜ光るのかは僕もあまりぴんときていません。
2日目を終えて¶
- ウランバートルからゴビ砂漠まで、丸一日の移動でした。舗装は途中まで、そこから先は荒野を直接走ります
- ガソリン不足は地方も同じでした。どの町のスタンドにも列ができています
- ツァガーン・スワルガは、平らな砂漠が突然落ち込んでいる場所です。柵はありません
- 8月でも夜のゴビは冷えます。ダウンを持っていって正解でした
- 空の暗さは評判どおりでした
明日はさらに奥へ入ります。
ラクダには、もう少し近づけるでしょうか。
この旅の記事シリーズ¶
モンゴル 8日間の旅(2026年8月9日〜16日)
- Day 1: モンゴル テレルジ国立公園 - 仁川経由のゲル泊と、ガソリンのない首都
- Day 2: ゴビ砂漠へ - ツァガーン・スワルガの断崖と、ゲルに降る天の川
- Day 3: ヨリーン・アム渓谷とホンゴル砂丘 - ヒゲワシの谷と、動かなくなった車
- Day 4: バヤンザグ - 恐竜の卵が見つかった崖と、直らない車
- Day 5: ゴビからウランバートルへ - 廃墟に散らばる骨と、700キロの帰り道
- Day 6: セミゴビからカラコルムへ - 廃墟で涼む馬と、ゲルの上の天の川
- Day 7: モンゴル最終日 - 草原を自転車で走り、最後まで羊でした